内観体験記 VOL:29

昨夜は、最終とあってスケジュールも一杯、そして夜9時からの諸先生方の個別指導などで、少々疲れたが思いのほか良く寝られた。いつもの様に4時前に目が覚めた。いつもは朝食は無いが、「解散式の日は朝食がありますから、手荷物は全て持って、6時に食堂に・・・」と昨夜仰っていられた。いつもの如く、手早く洗面などを済ませ境内に出る。今日は6時までたっぷり時間はあるし、あの高台の墓地へも行ってみようと思い歩を進めてみた。以前、境内から見かけた、線香の煙とお燈明はなかったが、30基ほどの墓石、どれもが実によく清掃が行き届き、献花もしぼんだものは1つとしてない。その気はあってもこれだけは出来ない。それもどの墓石もである。さすが、水野ご老僧の檀家さん達だと感心した。高台の墓地から下を見ると、思ったより境内が広い。本堂隣りの駐車所も20台以上は駐車出来そうだし、600坪程の畑の奥はまだ相当の空き地が見える。前ご住職が亡くなられ、檀家が少なく偏地とあって、ご子息が後を継がず廃寺同然だった当寺を、水野ご老僧が引き受けられたと聞くが、これまでにするには並大抵の苦労ではなかっと思う。それに、ここの境内を見渡してみると、六角堂、先ほど韻を込めて鳴った、あの有名な梵鐘、それに、点在する木々などが、静寂を感じさせる様に配置してある様に感じる。これは、ご老僧が意識的に作られたものに違いない。そうとしか、考えられない、ここ清楚な静寂さは、そしてご老僧の人となりに接して・・・                                思いに耽りながら、最後の本堂へと向かう。最後だから数人と読経したかったが、それもかなわず、浄土真宗のもっとも重要なお経「仏説無量寿経」を45分かけて読経。気が付いたら、背後に今回の内観者のお一人が、念珠をかけ一緒に拝礼された。ここに来て初めてであったから、大変嬉しかった。
 そろそろ6時になる頃だ。その方と連れだって食堂へ向かった。食堂には主食の玄米は変わりがないが、みそ汁と卵が置かれていた。最後だからの心尽くしなのだろう。今日に限って2敗お代わりをした。その後の食後の言葉はいつになく、皆の声が大きく感じられた。家に帰ってからの食事の注意事項があった。このまま、出来たら玄米食を続けて頂きたいが、白米に戻す場合は、お粥から始め、徐々に一週間ほどかけて本来に戻してください。という事だった。現に私は最初3日はお粥を頂いたが、3日目に普通の硬さのご飯を頂いたら、腹を壊してしまった。午前7時、食堂にご老僧、諸先生方がお越しになり、解散式が始まった。ご老僧の15程の最後の講話、そしてアドバイザー代表がお別れのご挨拶があり30分ほどで式は終わった。今日は、帰ってゆっくりして、明日からまた、通常の生活の戻る事になる。今回の体験を生かして、日々精進をして頑張ろうと心を新たにした。