仏教用語から転じた言葉:  愛

今年もバレンタインデーが間もなくやってきます。女性が愛する人にチョコレートを贈るようになったのは、いつの頃からなのでしょうか。とにかく街にはチョコレートがあふれています。この愛が仏教用語です。仏教では「一切苦悩を説くに愛を根本と為す」とあります。愛は迷いや貪りの根源となる悪の心の働きをいいます。喉が渇いたときに水を欲しがるような本能的な欲望で、貪り、執着する根本的な煩悩を指します。愛欲、愛着、渇愛などの熟語は、そのような意味を持っています。一方、仏教ではこのような煩悩に汚された、染汚(ぜんま)愛ばかりでなく「和顔愛語」のように、汚されていない愛も説かれます。仏菩薩が衆生を哀燐する法愛がそれなのです。この場合、たいていは「慈悲」と呼ばれているようです。