仏教語から転じた言葉:「悪事千里を走る」


湾岸戦争は、世界中を巻き込んで、終わりましたが、戦後にも困難な問題が山積みしているようです。湾岸戦争の特徴は、ハイテクの使用とテレビ戦争です。戦争勃発以来、戦争の悲惨な場面が、刻々茶の間に写しだされるのです。こんな戦争は今までありませんでした。まさに「悪事千里を走る」です。この諺は、悪い行いはすぐ世間に知れ渡る、という意味ですが、戦争という悪事は地球上を駆け回りました。「景徳伝燈録」に「好事門を出でず、悪事千里を行く」とあるのが、この諺のもとです。好い事はなかなか世に知られないが、悪い事はすぐに広まる、それが世相です。だからこそ、達磨大師は好い事を伝えるために、インドから遠く中国までやって来たのである、というのです。仏教は「不殺生戒」の立場から、「いのちを大切に」をスローガンにしています。一日も早く、平和という好事が、千里といわず、地球上を駆け巡け回ってほしいものです。