内観体験記 VOL:13

午後5時、少し遅い夕食、玄米食にも幾分慣れてきたようだ。1日目、2日目は家内の作ったカツ、焼きそばがなどが目に浮かんだが、それも徐々に消えてきたようである。それどころか、何故かこの食事が有り難く思えるようになってきたから多少は内観の効用が現れ始めたのかも知れない。私の様な業突く張りがどうした心境の変化なのだろう。食後、いつも気になっていた一枚の写真が壁に掲げられている。食事のお世話をして下さる方に尋ねてみた。その方は、滋賀県大津市のあるお寺の住職で、戦時中負傷され、傷口の壊死が進み遭えなく両足を切断され復員され、仏教の道の入られたそうだ。戦後は不住な体をおして布教活動と福祉活動に奔走され、その疲れから2年前に亡くなられたそうである。合掌園にも幾度か講演に来られ、いつも「私の仕事は、この顔で皆さんに喜んでもらおうとあちこちお邪魔してます。」と写真の様な笑顔でいつも云われていたそうだ。実に良い顔をしていらっしゃる。何故か仏像を見ている様なこの感覚が、写真を拝見していると、心が落ち着き、邪念が消えていく様で入所当所から気になっていたが、なるほどと思った。もう少し早ければお会いしてお話をお聞きしたかったと思わずにはいられない。5時30分、夕食が終わり、夜のお勤め、そして内観体験談の聴講と就寝の9時まではスケジュールが詰まっている。