内観体験記 VOL:11

内観体験記NO10続き・・・
 さて、本筋に戻そう。今日の9時から水野先生の講話、そして10時半からお昼まで境内の清掃と先ほど発表があった。清掃でも何でも良い、外に出られる事がこれほど嬉しかった事がない。さすが、粋な計らいも用意してあったのだ。さて、水野先生の講話内容である。ある日、大垣から来たと言って合掌園に中年の男がやってきた。受付が内観希望と思い込み所定の手続きをしょうとすると、怪訝な顔をされ、それでも手続きを済まされ内観に入られたそうだ。それから2,3日して大垣警察署から、こういう方は見えませんか?と尋ねてきた。話を聞くとなんと前科もあり、今、現在も覚醒剤関係で全国指名手配になっている男との事で、大変ビックリして水野先生にお伺いを立てたところ、警察の方を六角堂にお呼びになり「私が全責任を持ちますから、一か月ほど待ってほしい。その人を内観をさせて必ず立ち直らせますから」と云い切り、また、内観の効用を得と説かれ、警察の方もそれではと帰られたそうである。それからというもの、その人には警察の来たことも、その人が罪人であることも一切云わず、ただ内観に打ち込むように勧められたそうだ。しかし、その方は、内観をいつまでたってもやろうとせず、夜になると何処ともなく出かけ、深夜に帰宅する日が続いたそうだ。そんなある日、いつもの深夜の帰宅。所が帰宅と同時に突然の腹の激痛に襲われ七転八倒。医者を呼ぼうにも生憎の日曜日、それも深夜こ事、売薬を飲ませたが効果がない。そこへ、水野先生が心配してお越しになり、一目見て「あんた、下食(五臓六腑の毒が全て出る事)されたなぁ〜」と言われ、それなら結構と言われ「それも仏のなせる技、よく考えなさい」と云って帰られたそうだ。その人は一晩中、悶え苦しみぬかれ、翌朝、何もなかったように、朝のお勤めを熱心にされたそうである。それからは真剣に内観に打ち込まれ、その日の夕方、場内に響かんばかりの大声で泣かれ、両親、妻子、兄弟に詫びられたそうである。両親、兄弟、妻子にも見放され、合掌園に来て、この様な優しい扱いを受けた事で、自分に目覚められたそうである。それから、2週間ほど過ぎて水野先生が「あなたはタクシーの運転手さんでしょ。これから暫く私の運転手をして下さい」と言われ、各地で行われる先生の講話にお供され、益々、内観を深められ仏教の教えに帰依されたとそうだ。一か月余が過ぎ、その方の変わりようは目を見張るものがあり、改めて内観の凄さを各信者さんが」感じられたそうである。そんなある日、大垣警察からその方の連行に見え、その時、彼は警察の方に「しばらく、待って下さい。逃げも隠れもしませんから・・・」と云って本堂に入られ、木魚と叩いて読経されたそうである。その間、過去の彼を知っている警察官もビックリして彼を待っていたそうである。読経が終わり本堂から出てきた彼は「お手数掛けました」と云って車に乗り込み、見送りの合掌園の人達の「また、いつでも来いよぉ〜」の言葉に涙を浮かべ深々と礼をされ行かれたそうだ。その後、2か月の拘留生活を送られたが、その間、彼が合掌園で生活していたように規律正しい生活態度、懺悔の生活を実践され、後の裁判で、それが認められ実刑に値する刑を執行猶予で刑が確定したそうだ。今でも時々見えるそうで、奥さんとも寄りを戻され、大垣でタクシー運転手として、親子3人で一生懸命頑張っていられるようだ。お客様の立場に立って仕事をさして頂いていると毎日感謝に日々を過ごして見えるそうだ。「いくら悪人でも、仏の前では皆、善人。それを悪にするも、善にするも、自己を知るか、知らないかの違いであります。心して内観に打ち込んでください」と最後に先生は付け加えられた。