内観体験記 VOL:19

内観体験も最終日の7日目に入った。入所当時は時間が経つのが長く苦痛を感じていたが日を追うにつれ、それもさほど感じなくなってきた。日に日にその場の雰囲気が馴染んできた事もあるが、内観にも当所と違うものが感じられるようになってきた。例のように所定の所作を済まし、境内に出る。4時少し前だからまだ薄暗いが、今日は雲ひとつなく快晴の空、夜明けが早くなってきたようだ。東の空がオレンジ色に染まりだした。六角堂の裏手高台に30基程の墓地がある。よく見ると、その一基からローソクの淡い光と線香の煙らしき物が見える。近隣のお年寄りがお参りに見えたのだろう。晴れている所為か、深呼吸しても喉元が清々しい。今日も誰も境内にいる様子が見られない。梅の実も入所当時から比べると幾分大きくなってきた様に思う。まもなく収穫だろう。本堂に足を向け、両端の畑の夏野菜が大きく成長している。私のやっている家庭菜園の真似事とは随分違う。やはり、年期の入った方の作る畑は、うねを見ただけでも、一目瞭然だ。本堂では順法先生が「阿弥陀経」を読経されている。連日の献花、お燈明が、今日は少し遅れられたのだろう。後ろに正座してそれに加わる。それにしても、女僧さんだが、読経はまるで男性のようだ。毎日の賜物なのだろう、抑揚と迫力がまず違う。そして言葉がはっきりしていて、しかも丁寧だ。先ほどの畑と共に勉強させてもらった。内観所に戻ると4時45分、仲間は準備に入っている。所定の場所に最後の屏風を立て、今日のスケジュールを確かめる。今から10時まで内観、10時から11時まで境内の清掃、11時から食堂で12時半まで、体験談テープの拝聴そして昼食。12時半から3時まで内観。3時から5時まで、先生方の講話。5時から6時まで、お風呂及び夕食。6時から9時まで、内観の総仕上げと称して、いつになく水野先生並びに諸先生方が列席されての「集中内観」そして、それに対しての諸先生方のご指導。以上である。今日は最後とあって、かなり過酷なスケジュールが組まれている。