内観体験記 VOL:23

10時から一時間は境内の清掃作業だ。今日は早朝も快晴だったが、この時間も雲一つない。内観で思考停止に陥るこの時間を選び、気分転換の意味もあるのだろう。粋な計らいである。全員が外に出ると軍手を渡され、作業手順のお話があった。広い境内はゴミを探す方が難しいほど清掃が行き届いている。時々、内観中に外を見ると、タオルを首に巻いてほうきと塵取りを持った方を再々見かける。多分その方が毎日清掃なさっていらっしゃるのだろう。ゴミ一つ無いはずだ。しかし、清掃奉仕だからと、3人一組になって作業を始める。良く見ると、内観アドバイザーの方がそれぞれの参加者に声をかけて談笑されている。暫くすると、私たちの組のも来られた。「ゴミを探すの大変でしょ」と声をかけられ、「それが目的ではありません。こうして外で談笑するのも内観の一部です。」と言われなるほどと頷けた。私に対しては「三日目までは苦労されてましたが、それ以後は徐々に深くなってきました。先ほどの内観は素晴らしかったですよ。午後から期待してますから・・・」と満面の笑みを浮かべて仰られた。少々、お世辞も入っている気もするが、それにしても、よく観察されているなぁ〜と思った。そして、他の二人にもお話しされたが、個々それぞれに違った感想で、さすがアドバイザーを長年されているだけに、要点をしっかり押さえていらっしゃると、改めて考えさせられた。清掃と云っても、清掃らしき事も全くせず、3組の塵取りを合わせても申し訳程度ゴミで終わってしまった。「ご苦労様でした。では、昼食にしましょう」との案内で全員食堂へ向かった。食事も、入所2日目までは玄米独特の匂いに戸惑い、それこそ鼻をつまんで食べていたが、それ以後は徐々に慣れ、最近では美味しく感じられる様になって来た。玄米は白米と違って何度か噛まなければならない。好きな時雨などでお茶漬けはとても無理である。噛んでいく度に、白米には無い甘い旨みが出てくる。今日で内観も終了だが、後3日もすれば虜になりそうだ。家に帰ったら、豆腐とワカメのみそ汁・時雨・塩サバそしても、勿論、炊きたての白米で思いっきり食べている所が浮かんできた。後、3日延ばそうかとはみじんも思わなかった。これでは・・内観足りず・・・