内観体験記 VOL:25

幾多の苦難を4年間乗り切って卒業したとしても、僧侶の資格は得られる訳ではない。最後の難局、得度習礼を受ける資格資格が与えられるに過ぎない。それも、その資格も卒業してから5年間で消滅する事になっている。しかも、60歳以上は受けることは出来ない。(得度習礼に60歳以上は耐えられないとの判断から)受けるには各地方の教団に属する下部組織の組長(そちょう)の連帯保証がいる。それに住民票、戸籍謄本、印鑑証明(こんな物、何故必要か?)医師の診断書(7泊8日の得度習礼の行程に耐えうるか)の書類を本山に提出して審査の上許可される。この得度習礼行程は7泊8日で朝4時に起床、就寝は午後11時である。食事は3食でるが、生きるに最小限の量しかない。就寝、食事、お風呂以外は、講義(各教科の一年間の教科書の難解な所)・声明(お経を読む)・試験(講義の理解度のチェック)・内観(今回の内観とは違い、アドバイザーはいなく、禅宗の座禅の様だった)を時間内にだだ繰り返しの連続である。これでは、医師の診断書や60歳以上は参加出来ない事を実感する。真宗の教団だからこれを決して修行とは云わない。教錬というのだそうだ。最初の内は「何が教錬だ。単なる虐めに過ぎないじゃないか」と思い怒りさえ湧いて来たのを思いだす。それだけ激しいものだった。今まで体験したことが無い試練だから当所は仕方がないが、それでも、3日目を過ぎると参加者の顔や動作が生き生きしてくるから不思議である。この得度習礼には合否はない。7泊8日を耐え抜けばそれでよい。今回の参加者二十数名だった得度習礼は、ご病気の方を含め5人の方が脱落した事を後になって聞いた。最後の8日目の午前3時に「剃髪式(通称・おかみそり)を門主様、じきじきに各人に「剃髪」され「法名」を授けて得度習礼は終わる。ちなみの、私が授かった法名は「深諦」。内観で体感した様に、自身を「深く明らかにしていく」勿論、教えも日々怠りなく明らかにしていく、その姿勢を生涯持ち続け様と心に誓っていこうと思う。後、午前5時の朝事をご門主さまと全参加者で行い。午前6時に朝食(この朝食には驚いた。得度習礼中の食事とは雲泥の差、白米のご飯・貝のみそ汁・アジの干物・納豆・卵焼き・味付けのり、の超豪華版だった。)を頂いて9時から「しゅらい終了の儀」を行い、9時30分に解散。